商業道徳の頽廃 : 原因は封建の余弊か又商業組織の欠陥か
- 日付
- 1921-1-3(day)
- 渋沢関連
- ○ 渋沢栄一に直接関わる項目

説明
我国商業道徳の頽廃に就いては内外人から、屡其の迷惑振りを聞くので私は事実我国商業道徳が那辺迄頽廃して居るかを確め之が改良策はなきかと種々考慮中であったが最近に到り果して之が弊害の常習的であるのを認め誠に遺憾に思って居る。第一に我国一般商人が自己の利益の為めに取引上の約束を無視し宛も弊履を捨つるが如く容易に違約行為をする事でその約束破棄常習者の多きこと亦全世界に冠たる有様である これは相場の変動につれ物価の高低を以て第一に利益予想をする悪習慣の結果で、一例を示せば極く価格低廉の折に売渡し契約をしたものが、一度市場が恢復し相当の高価を示すと我国商人の弊として直に前契約を破棄して他方へ高く廻すと云うことである。そして価格の標準が現在よりも将来にありと目星を付けると仮令契約がしてあっても「在貨なし」等の名目の下に平気で破談するのが常習となっている。第二には我国の特許権侵害又はトレードマークの盗用が統計上欧米先進国のそれより以上にある事、第三には見本と現品との相違の著しい事、これは且つて米国へ向けた我国シャツの送荷が先方で開封するとボタンが全部糊付であっ…
言及人物
典拠・外部リンク
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