資産運用の術 (一〜二十五)
- 渋沢関連
- ○ 渋沢栄一に直接関わる項目

説明
(一) 欧洲大戦中より大正九年にかけての、我財界の動きは稀に見る現象にして常態とはいえない、斯る場合に於て、多数の失敗者を出すはまた残念ながら誠に止み難き事情と評さざるを得ぬ。併し、明治初年以来の我財況の経過を見る時、そこに十年乃至十二三年の周期を画して景気不景気の循環がいろどられている、もっとも一回は一回ごとに世界的の色彩を加味し来り、単純に内品的の経験のみを基本として対応し難かりしことも、否み難き事実であった。にも拘らず、我財界の人々中には、斯る至難なる財況の動きに処し、立派な成功を収め、よく之を今日に保持し得たものも甚だ少なくない、大正九年以後の財界反動期に於いて、失敗を余儀なくされた事は、それが大勢である以上、必ずしも其の当事者の恥辱と断じ難きと同時に、此難局に処して、其成功を今日に持続し得たる人々の態度には学ぶべき深みの甚大なるを認めざるを得ぬ投機市場に出没するやからの一夜大尽一夜乞食は今さらながら、粒々積上げた十年貯金の結果が、物価騰貴と相殺する時、却て元本を食込むが如きは、今日到る処に発見せらるる悲惨なる、然も不可抗的の事実である…
言及人物
典拠・外部リンク
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