渋沢栄一 LOD ビューア
日記DiaryEntryDKB10010m-0351

六月廿二日

日付
1902-6-22(day)

説明

六月廿二日 晴又雨、 午前八時 旅宿ヲ出テ馬車ニテ 瀑布 ノ下流ナル 巨川 ヲ超ヘ前岸 加奈多 方面ノ瀑布ヲ一覧ス、 米国 瀑布ニ比スレハ更ニ大ナリ、小邱ニ登リテ石油瓦斯ノ発火スル一井ヲ見ル、頗ル奇観ナリ、 午後一時 旅宿ニテ午飧シ、再ヒ市街電車ニテ市中ヲ一覧シ、且瀑布ノ下流ニ沿フテ行程六七哩[ ]《(○欠字。リユーストン)》ト云フ処ニ抵リ再ヒ車ヲ回シテ旅宿ニ帰ル、蓋シ下流ノ奔湍ヲ一覧スル為メナリ、 三時半 水力電気会社ニ抵ル、副社長 ランキンス 氏ハ日曜ナルニモ拘ハラス出社シテ余等ノ一行ヲ迎ヒ、工場ヲ一覧セシメ、且詳細ニ其設備ノ実況ヲ説明ス、水力ノ総高ハ拾万五千馬力ニシテ、拾個ノ水筒ニ拾個ノダイナモーヲ装置ス、其工場ノ堅牢ニシテ精密ナル驚クニ堪ヘタリ、使用ノ人員ハ昼夜三回ニ区別シテ八人宛ヲ使役スルノミナリト云フ、此会社ハ 加奈太 方面ニ於テモ水力電気工事ヲ起シ其馬力概略弐拾万馬力ヲ得ルノ設計ナリト云フ、一覧畢テ旅宿ニ帰リテ夜食ヲ為シ、 午後七時 紐育 行ノ夜行汽車ニ搭ス

現代語訳

晴れ、また雨。

午前八時、旅宿を出て、馬車で瀑布の下流にある大河を越え、対岸のカナダ方面の瀑布を一望した。米国瀑布に比べるとさらに大きい。小丘に登り、石油ガスが燃えている一つの井戸を見た。すこぶる奇観であった。

午後一時、旅宿で昼食をとり、再び市街電車で市中を見物した。また、瀑布の下流に沿って行程六、七哩のリユーストンという所に着き、再び車を回して旅宿に帰った。これは下流の急流を一望するためである。

午後三時半、水力電気会社に着いた。副社長ランキンス氏は日曜であるにもかかわらず出社して、私たち一行を迎え、工場を見学させ、またその設備の実情を詳しく説明した。水力の総高は十万五千馬力で、十個の水筒に十個のダイナモーを装置している。その工場の堅牢で精密なことは驚くべきものであった。使用人員は昼夜三交代に分けて、各八人を使役するだけであるという。この会社はカナダ方面でも水力電気工事を起こし、その馬力は概略二十万馬力を得る計画であるという。

見学を終えて旅宿に帰り、夜食をとり、午後七時、ニューヨーク行きの夜行汽車に乗った。

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言及人物

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