渋沢栄一 LOD ビューア
日記DiaryEntryDKB20004m-0083

五月四日

日付
1919-5-4(day)

説明

五月四日 日 快晴 軽暖 午前六時 起床、入浴シテ、朝飧ス、畢テ新聞紙ヲ閲シ、又、 文 徴明 ノ墨帖岳陽楼記ヲ臨ス、 午前十時 ヨリ家族一同ニテ海岸ニ抵リテ散歩ス 十一時 過帰寓、 稲垣 乙丙 博士 東京 ヨリ来訪シテ糧食節約ノ方法講究ノ事ニ付意見書ヲ示サレ詳細ノ説明アリタリ、又、 猪飼 正雄 氏来訪セラル、相共ニ午飧シテ、且、其企望ノ要旨ヲ聞ク、 午後一時 和田 英作 氏来ル、氏ハ余カ肖像ヲ油絵ニ作ル為メニ特ニ 第一銀行 ノ依頼ニ応シテ来レルナリ、蓋シ余カ転地シテ病後ノ保養ニ努ムルノ時ヲ以テ絵画ヲ作ルノ便宜トシタルナリ、依テ寓居ノ庭前ニ於テ 和田 氏ノ請フニ任セテ或ハ起立又ハ正坐種々ニ形容ヲ改メタリ、 午後五時 頃ニ至リテ止ム夫ヨリ 稲垣 氏持参ノ書類ヲ一覧ス 天気朗晴風ナクシテ気候暖カナリ、海岸ノ散歩最モ意ニ適セリ、来客散シテ後、夜飧ヲ為シ、夜、揮毫ニ努メ 十一時 就寝 明石 照男 及其三児共夕方ヨリ 東京 ニ帰ル、 秀雄 、 和田 氏モ 五時 頃ヨリ帰京ス、昨日来多数ノ家族ナリシモ 一時 ニ帰京セシニ付、夜ニ入リテ寂寥タリ

現代語訳

午前六時起床。入浴して朝食をとる。終えて新聞を読み、また、文徴明の墨帖『岳陽楼記』を臨書する。

午前十時より、家族一同で海岸へ行き散歩する。十一時過ぎに寓居へ帰る。

稲垣乙丙博士が東京より来訪し、糧食節約の方法を研究する件について意見書を示され、詳細な説明があった。また、猪飼正雄氏が来訪された。ともに昼食をとり、かつ、その希望するところの要旨を聞く。

午後一時、和田英作氏が来る。同氏は、私の肖像を油絵に描くため、特に第一銀行の依頼に応じて来たのである。思うに、私が転地して病後の保養に努めている時を、絵画を作る便宜としたのであろう。そこで寓居の庭前において、和田氏の求めに応じ、あるいは起立し、また正坐するなど、種々に姿勢を変えた。

午後五時頃に至って終える。それから稲垣氏持参の書類にひと通り目を通す。

天気はよく晴れ、風もなく、気候は暖かである。海岸の散歩は最も気持ちにかなった。来客が帰った後、夕食をとり、夜は揮毫に努め、十一時就寝。

明石照男およびその三児は、夕方より東京へ帰る。秀雄、和田氏も五時頃より帰京する。昨日来、多数の家族がいたが、一時に帰京したため、夜に入って寂しくなった。

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見出し

五月四日 日 快晴 軽暖

言及場所

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