繭価安定融資は千二百万円の査定 : 昨日の大蔵省議で決す
農林省から提案のあった五千万円の繭価安定に関する預金部低利資金の貸付については大蔵省で一日午前から午後に引続き調査を重ねついで午後三時ごろから蔵相官邸内に省議を開き三土蔵相、黒田次官、富田理財局長その他各関係官出席の上種々審議を重ねた結果農林省側の要求にかかる繭価安定資金五千万円の中養蚕事業資金三千八百万円は緊急必要なる資金でないから今後なお調査の上必要に応じ預金部運用委員会に附議して融通することとし今回は乾繭担保貸付金千二百万円だけの低利資金を融通することに決定したが預金部から乾繭担保貸付金として融通するは聊か不穏当なので「養蚕業に対する応急資金」として貸出することとし来る六日預金部資金運用委員会を開会の上附議することとして同六時半ごろ散会した、その貸付条件は大要左の通りである 一、貸付総額千二百万円 一、利率年五分 一、期限一ヶ年 一、勧銀、農銀、産業組合中央金庫の手数料は五厘 一、貸付先産業組合十人連帯個人等 一、貸付標準、乾繭一貫目金四円見当にて約三百万貫に対し貸付をなす しかして右の千二百万円は預金部の短期余裕資金より融通する方針で…
渋沢栄一
十五銀行の整理斡旋を再び郷男に頼む : 研究会幹部連頻りに口説く
貴族院研究会の青木、水野、小笠原、馬場の幹部連は一日も早く十五銀行の整理を完了させるため過日井上日銀総裁、西野十五銀行頭取等と会見し同行の内容、整理方針等について聴取した一方政府にこの援助方を懇請するなど努力してきたが結局この際財界の権威者に整理の斡旋方を依頼するより外に道がないとして渋沢子その他に相談の結果、前回同行の整理にあたり川崎造船所救済挫折のために手をひいた郷誠之助男の再出廬を促そうということに内定し、研究会幹部の一部では同男を訪ねてその尽力方を懇請している、同男の諾否はまだ不明であるが前々の関係もあり結局応諾するものと見られている
渋沢栄一
休業銀行整理と産業組合預金 : 農相の切捨反対意見に大蔵省側では不同意
山本農相は休業銀行に対する産業組合の預金が他の預金と同様一律に切捨てられることは産業組合の発展を阻止するもので殊に産業組合の預金は零砕なる資金の集成によるものであるから一般預金とその性質を異にすることを理由としてこれが切捨てに反対の意向を示している、これに対し三土蔵相を始め大蔵当局は産業組合預金のみをひとり特別に取扱うことは出来ないと反対しているが、その理由は大体左の通りである 即ち休銀に対する産業組合の預金を特別に取扱うべきや否やは休銀自体の問題であって大蔵省の容啄すべき限りではない、従って休銀が産業組合預金を小口預金として全額支払の整理案を樹立してくるならば大蔵省としては何ら反対すべきではないが実際問題として考えて見ると産業組合の預金を小口預金として全額支払を行うとなればこれと同一性質の共済組合預金を始めとして会社県庁などの下級社員の団体預金も同様の取扱いをしなければならぬ、かくては到底休銀の整理を完全に行うことが出来ない、また産業組合預金を小口預金と見てもその中には大口のものもあるから大口と小口との区別が甚だ困難である、かりに休銀当局者が…
渋沢栄一