中国興業と使節 : 双方の意思疏通す : 株式の引受は未定 : [中日実業株式会社創立 其六]
袁氏の伝言 九日渋沢男邸の午餐会にて目下来朝中の袁総統の使節孫李両氏は渋沢男其他列席の諸氏に向い最初孫逸仙氏が日支合弁会社組織の計画を齎らして渡日せし際には袁総統も亦其相談に与りたれども渋沢男と仮契約を締結したる本年三月頃には南北漸く反目の形勢となりたるより爾後孫氏よりは直接の報告を受けし事なかりしが日本の新聞紙并に支那公使館等の報告に拠りて中国興業設立の趣を耳にし袁総統も深く其素心の実現せられたるを喜び中国興業に対しては満腔の誠意を以て充分の援助と便宜とを与う可しとの袁氏よりの伝言を披露したり 渋沢男の挨拶 是に於て渋沢男は元来中国興業は決して一部の人士を限りて成立せしめんと欲せしに非ず日支実業上の連絡提携を全うせしむ可き楔子なれば日本側株主も所謂三井系、三菱系等一部に偏するを避け全国の有力なる実業家を網羅したれば支那側に於ても固より南地に対し偏頗ある可きに非ざりしに事の成行上或は南方に偏するの誤解を生ぜん事を恐れたる折柄両氏より袁総統の伝言を承り大に意を安じたりとの挨拶に及びたり 割込は未なし 左れば此の午餐会に於て双方の意志…
渋沢栄一