八月三十日
八月三十日 晴 冷 午前六時 起床、入浴ス、畢テ日記ヲ編成ス、楼前青山連亘シテ樹木鬱叢、朝嵐掬ス可シ、 八時 朝飧ヲ食シ、直ニ旅宿ヲ発シ馬車ニテ停車場ニ抵ル、此途中崔路頗《(崖カ)》ル険ナリ、 十一時 室蘭 ニ達ス、 宇野 鶴太 氏始地方人士多ク停車場ニ来リ迎フ、着後先ツ岩礦会社《(炭)》ノ接客ニ設ケラレタル家屋ニ抵リテ午飧シ、後、 岩本 少将、 宇野 鶴太 及 植村 氏等ノ案内ニテ小蒸気船ニテ湾内各所ヲ巡覧ス、 日本 製鋼所ノ起業ニ係ル湾内埋立桟橋築造、工場設置等ノ事ヲ詳細ニ一覧シ、又製鉄所経営ノ事ヲ説明セラル、更ニ港内ノ大勢ヲ通観スル為メ船ヲ諸方ニ廻転ス、 午後三時 船ヨリ上リテ岩礦会社内ニ於テ地方人士ニ一場ノ講話ヲ為ス、畢テ市街ヲ散歩シ、夕方岩礦会社ノ家ニ帰ル、此日会社ニテ捕魚ノ余興アリ魚ヲ得ルコト頗ル多カリキ (欄外) [たのしさにおしむ《うつす》日影にくらへてはうきにたつ日のなかくもあるかな
宇野鶴太岩本植村室蘭日本