渋沢栄一 LOD ビューア
日記DiaryEntryDKB20004m-0080

五月一日

日付
1919-5-1(day)

説明

五月一日 木 曇 軽寒 午前七時半 起床、昨夜ヨリ少シク熱気アリテ気分清爽ナラス、朝来発汗多ク為メニ起床時間遅引シタリ、入浴ヲ止メ洗面シテ朝食ヲ為ス、畢リテ旅装ヲ理シ 兼子 ト共ニ此日 大磯 ナル 明石 ノ別宅ニ転地シテ病後ノ疲労ヲ医セントスルナリ、 午前九時 余ハ先ツ家ヲ出テ 佐々木 勇之助 氏ヲ訪ヒ、 篤二 ノ身上ニ付爾来種々ノ高配セラレシ事ヲ謝ス、 十時 事務所ニ抵リテ書類ヲ整理シ、 増田 、 白石 等ニ留守中ノ要務ヲ指示ス、来ル 十一日 開催ノ米人宴会ノ事ヲ指揮ス、 中島 男爵来話ス、 植村 澄三郎 氏来話、 武之助 身上ノ事ヲ托ス、 十二時半 第一銀行 ニ抵リテ午飧ス重役多数会食ス、 午後一時 過 兼子 王子 ヨリ来ル、直ニ同車ニテ中央停車場ニ抵ル、同族多人数来リテ行ヲ送ル、 一時五十分 発、 四時 大磯 着余ハ人車ニテ 明石 ノ家ニ抵ル 明石 ノ家ハ 小磯 ナル山添ノ高地ニ在リテ眺望尤モ佳ナリ、 寺内 伯ノ家ニ隣接ス、山ヲ負ヒ耕地ニ面シ南方数十間ニ松林連続ス、汽車麦隴中ヲ経過スル事日夜何十回アルヲ知ラス、幽静中ニ活動ノ気色アルヲ覚フ、読書揮毫ニハ最好適地タリ

現代語訳

午前七時三十分、起床。

昨夜から少し熱気があり、気分がすぐれない。朝から発汗が多かったため、起床時間が遅くなった。入浴はやめ、洗面して朝食をとる。食後、旅装を整えた。

兼子とともに、この日、大磯にある明石の別宅へ転地し、病後の疲労を癒やそうとするのである。

午前九時、私はまず家を出て佐々木勇之助氏を訪ね、篤二の身上について、これまで種々ご配慮いただいたことを謝した。

午前十時、事務所に着き、書類を整理し、増田、白石らに留守中の要務を指示する。来る十一日に開催される米人宴会の件を指揮する。中島男爵が来て話す。植村澄三郎氏が来て話し、武之助の身上のことを託す。

午後十二時三十分、第一銀行に着いて昼食をとる。重役多数と会食する。

午後一時過ぎ、兼子が王子より来る。直ちに同車して中央停車場に着く。同族が多数来て、出発を見送る。

午後一時五十分発、午後四時大磯着。私は人力車で明石の家に着く。

明石の家は小磯という山沿いの高地にあり、眺望がたいへんよい。寺内伯の家に隣接している。背後に山を負い、耕地に面し、南方数十間には松林が続いている。汽車が麦畑の中を通過することは、昼夜何十回あるか知れない。静かな中にも活動の気配があるように感じる。読書や揮毫には最も適した場所である。

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見出し

五月一日 木 曇 軽寒

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