渋沢栄一 LOD ビューア
日記DiaryEntryDKB10011m-0013

九月一日

日付
1902-9-1(day)

説明

九月一日 雨、 午前九時 ヱリス 氏父子来リテ ハンブルグ ノ港内ニ於ル諸設備一覧ノ事ヲ告ク、先ツ馬車ニテ旅宿ヲ出テ市街ヲ通過シテ保税倉庫ニ抵リ其全体ヲ一覧シ、尋テ小蒸気船ニ搭シテ河川ヲ縦横シ、保税倉庫ニ於ル貨物ノ出入又ハ其昇降等ノ取扱振ヲ説明セラル、更ニ新港ノ築造工事ヲ見ル、此新築ハハンブルグ・アメリカン汽船会社ノ市ト約束シテ設クルモノナリト云フ、総テ此港渠又ハ倉庫等ハ市ニ於テ設置シ商人ニ貸与スルモノニシテ其賃貸ノ割合頗ル廉ナリト云フ、一覧畢テ市中一ノ料理店ニテ午飧ス、食後取引所又ハ市役所ヲ一覧ス、市役所ハ十二年前ニ建築落成セシ由ニテ構造壮大ニシテ美麗ナリ、各室悉ク巡視スルヲ得ル、何レモ意匠ヲ凝セシ結構ナリ、畢テ市街公園等ヲ馬車ニテ乗廻ハシ、市中ニアル湖水様ノ河川ニ沿フ大路ヲ巡回シテ後小蒸気船ニ搭シテ 午後五時 旅宿ニ帰ル、 午後七時半 再ヒ ヱリス 氏父子ノ案内ニテ市内動物園内ノ割烹店ニ抵リテ夜飧ス、 市原 、 萩原 、 八十島 ノ三氏同伴ス、此日ハ園内ニ細工火等ノ余興アルヲ以テ来人頗ル多ク場内雑沓ス、食後夜 十時 過帰宿ス

現代語訳

雨。

午前九時、エリス氏父子が来て、ハンブルグの港内における諸設備を見学することを告げた。まず馬車で旅宿を出て、市街を通過し、保税倉庫に着いてその全体を見学した。続いて小蒸気船に乗り、河川を縦横に巡り、保税倉庫における貨物の出入りや、その昇降などの取り扱いぶりについて説明を受けた。

さらに新港の築造工事を見た。この新築は、ハンブルグ・アメリカン汽船会社が市と約束して設けるものだという。総じて、この港渠や倉庫などは市が設置して商人に貸与するもので、その賃貸料の割合はたいへん安いという。

見学を終えて、市中の料理店で昼食をとった。食後、取引所や市役所を見学した。市役所は十二年前に建築が落成したとのことで、構造は壮大で美麗である。各室をすべて巡視することができ、いずれも意匠を凝らした立派な造りであった。

その後、市街や公園などを馬車で乗り回し、市中にある湖水のような河川に沿った大通りを巡回したのち、小蒸気船に乗って、午後五時に旅宿へ帰った。

午後七時半、再びエリス氏父子の案内で、市内の動物園内にある割烹店へ行き、夕食をとった。市原、萩原、八十島の三氏が同伴した。この日は園内で仕掛け花火などの余興があったため、来客がたいへん多く、場内は混雑していた。食後、夜十時過ぎに帰宿した。

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言及場所

IRI:https://shibusawa.or.jp/lod/diary/entry/DKB10011m-0013

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