鉄飢饉の実態 : 日鉄中心主義破綻 : 罪は歴代の商工当局
世界的軍拡再強化工作の急激な進展、三十億円余の膨大『国防』予算編成等内外諸情勢から誘発されたインフレの進行過程において建設計画の急テンポな増大にも拘わらず生産能力の不足、保有原料の貧窮を暴露している、昨春来我国において兆候を見せたいわゆる銑鉄飢饉は下半期に入っては既に収拾すべからざる事態にまて進行し、銑鉄の需給はいちじるしく窮屈となった、また今年一−三月では需要四十六万一千二百トンと前期に比し二万トンの増加であるに対し、供給は三十四万五千トンと実に十一万五千トンの不足となっている 建値は十−十二月物四十九円五十銭であったが、一−三月は共販五十七円と七円五十銭の大幅引上となった、日鉄建値は未決定であるがソ連銑の輸入難見越しや輸入採算九十三円と称せられる米、仏銑まで買漁る状態では共販建値に追随する外はない、日鉄と共販の二元的統制による配給の不円滑、不当な価格抑制の欠陥がここにある 銑鉄飢饉は屑鉄の供給難とともに鋼材部門に飛火し、鋼材市価は丸鋼ベースを例にとれば十月九十二−七円、十一月百円関門突破、十二月百五十円、一月の初相場はついに二百円を唱えその後…
渋沢栄一