日米関係 : 平民的日米倶楽部設立の必要
近時、当局官憲及び民間一部の紳士紳商等は、頻りに日米関係の改善されたるを説き、以前に比して両国民感情の緩和されたることを証言すれども、開戦以前の排日行動は扨て措き、休戦以来米国各地に起れる出来事は、一として是等の証言を裏切らざるものなく、両国関係の漸次険悪に赴き、面白からざる状態に在るは、如何に親米論者と雖も否認する能わざるべ□□即ち太平洋沿岸諸州議員の競うて、州議会に排日法案を提出し、独り締盟条約の規定に依って、当然在米邦人の獲得せる、既得権を褫奪せんとするのみならず、特に在米邦人に対して差別的待遇制度を設けんとするが如き、又上院共和党議員の、漫然口を公道正義に藉り、巴里講和会議の公認せる山東問題に対して、無用の干与を試み、独立国民として殆ど忍ぶ能わざる迄に、日本の国威国権を阻碍せるが如き、単に之を米国側より解せば、相当の理由あり、又事情あるならんも、之れ有るが為めに、在米邦人の既得権を無視し、国家的体面を毀損せんとするに至りては、日本国民たるもの、断じて対抗するの勇気と覚悟なかるべからず。両国関係の改善に努め、力を国民感情の融和に注がざる可ら…
渋沢栄一