火災保険業者の大狼狽 : 新会社設立にて
本邦に於て営業せる内外各火災保険会社は保険料率引上策として従来二回まで恊定率を制定し一般被保険者に臨みたるも各会社内部の情実並に被保険者争奪の為め会社当事者自身恊定を破壊することとなり之れが為め自然恊定の効力を失いしより今回第三回恊定規約を制定するに方り海外会社の本邦支店及び代理店を加入せしめしも新恊定は率従来の保険率に比し約五六割以上の高率なる為め恊定後の被保険数は財界の大景気に反し増加の傾向を示さず従って恊定規約は徒に第一流保険会社を利するに止まり第二流第三流の会社内には常に紛擾絶えざるより此弱点に乗じ今回資本金百万円の簡易保険会社設立せられ該恊定に加入せず単独にて被保険者の勧誘に努力しつつある折柄更に近々原金吾氏は渋沢大倉氏等の後援に依り資本金三千万円を以て大正火災保険を設立しこれ又恊定に加入せず単独行動を取るに至るべしとのこと伝わり既設各会社共大狼狽の態なりと(東京電話)