今後の経路や如何[其三十一] : 横田坪田両氏の意見 : 報償契約を破棄すれば
電気買収問題に関し今や市対会社の交渉断絶して殆ど収拾すべからざる有様なるが万一調停者の現出するとせば何人が果して適任なるやに付横田代議士坪田市会議長両氏の談を聞く 横田代議士談 市対会社代表者の意見不幸にして衝突せし結果市長は五十二万の市民を内村氏は三千名の株主を代表し其立場より相互の利害関係本位に責任と義務を尽くすべく睨み合いの姿となりしは遺憾の極である左れば今日の場合本人同志の直接折衝又は妥協等のことは事実上絶対不可能なれば茲に始めて第三者の調停策により円満解決を促進する必要時期が到来したのである由来市も会社も自動的に第三者へ依頼することを好まざれば何人かが率先其衝に当るか又は利害関係没交渉のものが調停者を互選又は懇望という形で衝に当らしむるのも一策であろう後藤内相はトッチンカン不自然内閣の中堅シカも市に対する監督官清野知事亦直接の監督であるから其境遇上調停者たり得ざること思う但し万一両者が出ずるに至りし暁どうしても市を本位とするだろうから会社は不利益となる治安上の問題例えば演説会焼打騒動の如きこと突発するに至ばら監督上必要の施設をなし取…
渋沢栄一