渋沢栄一 LOD ビューア
黒田DiaryEntry29515

十月一日附 パリ発信 父宛 封書

日付
1885-10-1(day)

説明

十月一日附 パリ発信 父宛 封書 (前略)わたしはまだがつこうにはいりませんでやつぱりげしくやにをりまいにち二じかんだけせんせいがきてくれますからこのごろはちようどがつこうにをるときのようにいそがしいことです いまわたしがならつてをるせんせいはあるかんぼうといふひとにてぶんぞうさんをよくしつてをりしじゆうぶんぞうさんのうわさをいたします たいへんしんせつによくをそへてくれます さる二十七日はにちようびでしたからひさまつさん かとうさん くどうさん ふぢしまさんといふひとたちと五にんづれでゑんそくをいたしました まことにおもしろいことでした このぱりすのみやこはちようどとうきようのようなところにてまちのまんなかにひとつ大きなかわがながれております このかわのなをせいぬがわともうします このかわにはたくさんこじようきがございましてしじゆうたゑまなくかよつておりますからたいへんべんりです さてわたしなんどは五にんづれでこのこじようきにのりむうどんと申ところにゆきました このところはまづ東京にたとゑて申ましたならばたまがわのようなところにてぱりすのきんじよのちいさないなかです かわじようきがつくとすぐそのあがりくちにあるりようりやにはいりひるめしをたべましてそれからみんなであるきはじめました このむうどんには大きなもりがございます そのもりをとをりぬけてさきにゆくとべるさいゆと申まちにでます むうどんからこのべるさいゆまで三りのうへもあるでしよう ずいぶんとをいところです さてわたしなんどはむうどんのもりのなかにはいりましてあるきながらはなしをしてわらうやらまたくさのうへにねころぶやらしてそれからとうとうこのもりのなかをとうりぬけてべるさいゆのまちまでゆきこゝからきしやにのりぴーがらがらがらとぱりすにかへりました ちようどろくじはんごろでしたからすぐにめしやにゆきめしをたべました(後略) 母上様 清輝拝

見出し

1885(明治18) 年10月1日

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